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       歯切り加工およびスロッター加工
 ▼「有限会社 山下歯車工業」
 

歯車が噛み合わない、社会の歯車の一つ、
そんな風に人と人、人と社会のつながりを表す言葉に出てくる歯車。
小さな町工場で造られている歯車は、
まさに人と人、人と社会を結び付けていた。

円筒形に刃の並んだホブという刃物が縦回転しながら、横回転している円柱状の素材を刻んで歯形を作り出していく。どうしてこうなるのか説明されても良く分からないが、不思議な光景で見ていても飽きない。
直径1センチ(10ミリ)くらいのものから50センチ(500ミリ)くらいのものまで、歯の大きさも1ミリに満たないものから親指くらいの大きさのものまで、素材も鉄・鋼鉄・鋳物・ナイロンなどいろいろ。縦に真っ直ぐなものもあれば、斜めになったもの、チェーンがかかるためのものなど、歯車と一口で言っても、いろんな種類がある。「うちで歯切り出来るものはホブを使って切れるものだけなんで、歯車のごく一部の種類でしかない」らしいが、ここで歯切りできないものは得意先への外注になるが「たいていの歯車のオーダーには答えます」とのこと。
 
もともと量産品を作る会社じゃないようで、少量なものとか、修理部品とかが中心で、単品の注文も多いらしい。これがないと機械が動かないので何とかしてほしいと、ほとんど原型をとどめていないものから歯形を割り出して作らなければならないこともあるとか。「何十年も使っている機械なら、メーカーにも部品がないし、ものによっては作った方がメーカーより早かったり、安かったりもしますんで。それに、機械の改良をするときには既製品では欲しい寸法のものが無い場合も多いですしね。こんな材質で、これぐらいの噛み合わせで、これくらいの大きさのもの、といったイメージだけで依頼されることもあります。」そんな風に歯車の話を聞いているだけでも面白い。

しかし、長引く不況の中で量産品や安価な海外の製品に押され、少量生産の加工屋は仕事が限定され気味。
それに、今まで歯車を使うことでモーターの減速や動力伝達をしていたものが、モーターだけで直接速度の調整が出来るようになったことや、軽量化や振動・騒音の問題などからベルトを使うようになるなど、歯車の需要は減る傾向にあり、ますます厳しい状況になっているとか。

そんな中で、この会社は歯車の加工以外の方向に活路を求め、歯車とは全く関係のない仕事も請け負っている。
「旋盤加工を始め機械加工全般」から、「製缶」、「焼入れ処理」、「メッキ処理」、「製図」、「組み立て」、「材料や既成部品の調達」、「塗装」、「バランス調整」と言った具合に、得意分野の違う会社をグループ化して、商社の様に何でもこなす。実際のところ歯車加工での収益は全体の3割程度で、あとはそれ以外の商社的な仕事だと言う。
「短納期と高精度の要望に答えてくれる外注先があるからこそ」なのだろうが、依頼を受けた様々な仕事を行うには、外注先の作業工程の管理や他業種の専門知識も必要になるなど、本業をしているのとは比べ物にならない苦労もあるはず。
「歯車という特殊で複雑なものをやっていたからこそ、うちに頼めば絶対に大丈夫と思って依頼してくる。うちとしてはそんな客の要望に少しでも答えていきたいだけ」。
40年以上続く加工屋としてのプライドが、歯車にも、そしてそれ以外の製品の中にも込められているようだった。

    

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有限会社 山下歯車工業
大阪市此花区四貫島2−17−14
TEL:06-6461-6644
FAX:06-6461-6119



 

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