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本物が持つ温かさがある
それに触れ、心が癒される
人と筆が描き出す文字が見る者に伝えられるものは
そんな言葉以上の温かさに違いない
墨の香りがする。この香りだけでも不思議と安らぎを感じさせてくれるのはなぜなんだろう。筆先に墨が染み入り、白紙の上に降ろされた瞬間から、墨はただの黒い液体ではなく、人に何かを伝える力のある道具に変わっている。「見る人に何かを伝えられたら、それでいいんちゃいますか?店の看板を書く時にはその店の雰囲気とかこだわりを出来る限り伝えたいし、ラベルを書く時は品物に存在感みたいなものを出させるようでありたいとは思います。依頼してきた人が書いてほしいものは、誰かに見せるためのものやねんから、その思いを伝えれる文字を描き出せるよう努力してます。」
筆(ふで)捌き(さば)に寄って描き出される見事な濃淡。擦れ(かす)までもが当然のことながら文字の味わいになる。字を書くことを忘れてしまったかのような昨今、人の描き出す文字が余計新鮮に感じられ、温かく思う。
「電子化の社会に着いていけないんで」と笑う。屈託のない笑い顔。その笑顔の向こうで、依頼者の注文が何を求めているのかを嗅ぎだそうとしている。どんな表情の文字を描けばいいのかを考えている。
何をどんな風に書けばいいのかなんてことは、本当は誰にも分からないと思うのだが、求められる文字のイメージにどうすれば近づけられるのかをずっと模索している。
「験しにこんな感じでと思って書いたものが一番気に入られたりすることもあるんで、本当にこれっちゅうものは無いんかもしれんけど、依頼に答える思いが無いとあかん思うんですわ。」
看板に書く文字一つで、店に入りやすくさせる力はあるのかもしれない。これにしましょうと決まったもので印刷にまわされるとバランスが悪く感じられたり、書いている本人自身が満足できなかったりすることも。
「文字はあくまで文字なんですわ。誰かに何かを伝えるためかも知れんし、記憶以外のものに残しておくためかもしれんし、時を刻むためだけのものかも知れまへん。人が人や社会に対して、自分に対して使うコミュニケーションの道具なんですわ、文字は。」
筆を握った瞬間に、自分の思いの全てを墨に溶かす。そしてその思いを増幅させて紙や板に映す。世界で二つと無い物をその瞬間、瞬間に描き出す。それが伝えてくれるものは、機械が作り出したものには決して無い、文字以上に心のこもったメッセージだということを、再認識させられる作業場だった。 【森口書制作所値段表】
店舗看板 |
50,000円〜100,000円程度 |
店舗メニュー |
15,000円程度 |
表札 |
8,000円程度 |
ラベルタイトル |
30,000円〜80,000円程度 |
表彰状 |
8,000円程度 |
年賀状・暑中見舞い文面 |
10,000円程度(印刷廻し可) |
各種挨拶状・礼状文面 |
10,000円程度(印刷廻し可) |
宛名書き |
200円(ハガキ1枚) |
結納目録 |
8,000円程度 |
書道手本 |
半紙5,000円程度 |
書道添削 |
半紙5,000円程度 |
各種筆文字デザイン |
30,000円〜80,000円程度 |
現代書アート |
10,000円〜150,000円程度 |
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