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アイスピックというレアな製品でグッドデザイン賞を獲得した「友井工芸」。
このフックの付いた細身の独創的なアイスピックの製作は、タウンポートでも紹介している靭本町の「バー立山」のマスターの依頼で始まった。
元々は東大阪と同じように町工場の集まる八尾で、図面どおりに製品を仕上げていくごく普通の町工場だった。趣味のアート活動を通して、金属の巨大オブジェやどんな音が出るのか楽しみな奇想天外な形をした楽器、演劇の舞台で使う器具、コンサート会場のスピーカーの防護カバーなどの機材を作るうちに工芸の仕事がメインになり、友井工芸として会社を立ち上げた友井社長が、マスターの「いいアイスピックがないんですよね」とのつぶやきを聞いて、「そしたら作りましょうか?」と受けてしまったことから話が始まった。
いいアイスピックとはどういうものかということから始まり、材質、質感、製作方法、デザインに至るまで、様々な職種の専門家や職人さんを巻き込み、試行錯誤を繰り返し何度も何度も修正を加え、その都度依頼者に確認しながらやっと完成に至った、いわば八尾の職人集団の血と汗の結晶。グッドデザイン賞に選ばれるそのフォルムは握りやすさ、力の入れやすさ、針先への力の伝わり方などをとことん追求して導き出された実用的な機能美でもある。
上記のプレミアタイプで3万円、従来のアイスピックの形状をそのままに質感と性能を向上させたスタンダードタイプで1万5千円とかなり高価だが、ステンレスを削りだしたそれだけでも見事な職人技が見て取れる針は交換が出来るため正に一生もので、氷を扱うバーテンダーや料理人などのプロだけでなく、家呑みをする人にとってはよりおいしくお酒を味わうための至高のアイテムになるかもしれない。
友井工芸が目指しているものは、アイスピックならバーテンダーが出すお酒を飲む人、舞台やコンサート会場の機材ならばそれを見に来た観客という風に、その製品を使う人のさらに先にいる人たちの喜びを引き出せるもの作りだという。
さて、次はどんな物を作り出してどんな喜びを与えてくれるのだろう。
皆さんも何か作ってもらいたいものはありませんか?
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