マーシーの海釣り日記【その64】
日本海浦島グリ 幻の魚アラ釣り
8月8日(日)、日本海の養老漁港の新幸丸さんの乗合へ、幻の高級魚アラの一発狙いへ行きました。今回は同じ養老漁港の裕凪丸さんでの大ヒラメ釣りも考えましたが、まだお目にかかったことのないアラの夢を乗せて友人と3人で、ダメ元の気持ちでトライでした。アラは深海からこの時期に200m〜100mに上がって来るそうです。今回お世話になった新幸丸さんは約3年ぶりぐらいです。大型の釣り船で、とても速くて、広いキャビンがあり、若船頭さんもかっこ良く親切です。AM5時20分出船で、ポイントの浦島グリまでは約1時間。今の時期は、浦島ソイ(キツネメバル)と沖メバルが沢山釣れます。お土産は釣れるので心配いりませんが、良型のアラは中々、釣れなくて運も見方にしないと難しいです。エサは写真の冷凍イワシとホタルイカです。座席は左舷のトモでしたが、船のクッション玉が側面に5〜6個付いていたので、仕掛けの針を上げる時に注意が必要でした。装備は、竿が2.7m-120号(剣崎TRAD)、電動リールはダイワ400BDe、PE5号。
AM6時30分から第一投。水深は150m前後、オモリは80号。仕掛けは最初、市販の根魚胴付き5本針(15号針、6号-8号)。下針2本にイワシ、上3本にイカを付けました。ポツポツと浦島ソイが釣れだしましたが、全てイワシばかりに来ました。針が15号のムツ針なので、もしアラが来たら心配やな〜と思いながら、お土産のソイを釣っていました。隣に座った新幸丸常連の玉井さんは自作の8本仕掛けで、追い喰いを狙いながら最高でソイの7連を上げていました。玉井さんにシマノ探検丸の画像を初めて見せてもらいましたが、水深150m前後の棚の駆け上がりとかが、ハッキリと映っていました。魚影は1回だけ棚から5m程上で見えて面白かったです。とても親切なやさしい方でした。
5本仕掛けがオマツリでダメになったので、手返しの楽な3本仕掛け(6号-8号)にし、下針だけ18号の金ムツ針に替えました。
その後も浦島ソイ、沖メバル、カレイなどがよく釣れていました。お土産も十分出来たので、AM9時半頃からいよいよ本命のアラを狙いました。仕掛けを幹糸10号、ハリス8号、3本(17号)針、アラが下針にくるか?解りませんでしたが下針だけ18号ムツに取替えて、エサは出来るだけ大き目のイワシに換えて底を探りました。
前夜は、アジアサッカー決勝、巨人×阪神(だらだら延長)、冬のソナタなどのテレビで一睡も出来ず、その時間帯は眠くてあくびが止まりませんでした。アラのアタリがどんなものか?どんな顔をしているのか?も知らないし、どうせ来ないやろ〜と思って、ぼ〜っとしていたら遂にその時がやって来ました。
時刻は8月8日のAM10時10分でした。120号の剣先竿が根がかりのようにまったく動かなくなりました。浦島グリは根がかりが少ない漁礁なので安心していましたが、居眠りを仕出したら根がかりか〜!「今日はアカンな〜」と思いながら、竿を上にしゃくったら強烈な“グイッー”というアタリらしきものが一発・・・・・。まさか〜?!それでも根がかりという思いが90%・・・。手巻きでリールを巻いてみたら、びくともしないで巻けません。
やっぱり根がかりか・・・と思ったその時に“グイッ、グイッ”と2発の竿を持って行かれそうな引きが・・・・・・。
「違う!これはちゃうで〜!下に何かおる〜!?」「どうしたらええねんやろ〜?」「落ち着け、落ち着け・・・」
隣にいた常連の玉井さんに「何か、来よった!どうしたらええんやろ〜?」と、半分うろたえている自分がそこにはいました。「アラが来よったんや!ドラグを緩めて、あせったらアカンで〜!じっくりいきや〜!」というアドバイスをもらって少し冷静になりました。ドラグを確認して、手巻きで少しづつ巻きますが、糸を50cm巻いて1m引き出されます。水深を見るとまだ137mもある。糸を引き出されるパワーは、今まで味わったことのない岩のようにずっしりした重いものでした。そのやりとりを5分ほどしてから糸が少しづつ巻け出しました。一緒にいた友人がタモを用意して回りに集まって来ましたが、水深はまだ100m。
友人(先輩)は「やったな〜!慌てんと、じっくりやったらええで〜!みんな待ってくれるさかい!」と激励してくれて、船長に来てることを知らせてくれました。
「まだ分からんので、プレッシャー与えんといてください。」と答える。
でもその友人は「ほんまにそんなに重いんか〜?オーバーアクションしすぎとちゃうか〜?」と疑ってきました。
「ほんまですよ〜右肩(痛めている)が抜けそうなんですよ!」「ほな、持ってみてくださいよ!」と言って、竿を持つのを替わってリールを巻いてもらいました。
「こら〜ほんまやな〜強烈や〜!」と理解してもらいました。その後も50mまでは、とてもしんどかったです。残り5mでやっと長細い銀白色のお腹が見えました。船長さんが慎重に糸を取り込んでくれて「あれは何〜?」と誰かが船長に尋ねたら「アラや〜!」という返答が帰ってきました。友人がタモに入れてくれましたが、
一人で船に上げれなくてお辞儀をする様に腰が曲がったままでした。
「何してるんですか?早く上げてくださいよ〜!」と言うと「アカン〜!上がらん!誰か助けてくれ〜!」もう一人の友人が手伝ってやっと船に上がりました。
約20分ほどの格闘で、感動の80cmビックリサイズでした。船長が「よう肥えてるわ!料亭で10万円はするな〜」
僕はアラの厳つい顔を見て、嬉しいというより放心状態でした。針は上アゴのここしかない!というぐらいの絶好の所に掛かってました。それでもその後、目の前でアラが口を動かした瞬間に針が折れました。「針が折れかけやったんや!
危ないとこやったな〜!」ぞ〜っとしました。
釣り上げた後に色々考えた事は、
- 丸セイゴの針やったら完全に外れるか、折られていたやろ〜な。やっぱりムツ針やな〜。強力な太地ムツ針(20号)でもええぐらいやな〜。
- 鋭い歯に切られない、太いハリス(10号)か、針根元10cmくらいのハリスを強化カバーする工夫をしてもええな〜。
- 竿は今回の選択(剣先120号-2.7m)でええな〜。
- やっぱり釣りは諦めたらアカンな〜。
その後、刃渡り15cm程の魚絞め用の出刃包丁でアラを絞めようとしましたが硬くて首元の髄に入らないので、尾の方に刃を入れて角棒で叩いて髄を割りました。それから魚絞め専用に持っていたピアノ線(60cm)を髄道に入れてアラを絞めました。“ビクッ”ビクッ“っと一発で絞まりました。髄絞めはくら寿司のマスターに教えてもらいました。
納竿の1時30分までソイ、沖メバルがぽろぽろと釣れました。他の人がアラの45cm前後を2匹上げました。若魚のアラは体にしま模様がまだ残っていました。魚図鑑を見ているようで勉強になりました。
自分の釣果は浦島ソイ22、沖メバル2、アラ1でした。
PM6時半に家に帰り、PM8時半から、くら寿司さんで友人達と9人が集まってアラGETパーティーをしました。1キロ10,000円はする超高級魚、めったに口にすることは出来ない味に期待は膨らみました。最初の刺身の一口で納得出来ました。それからは刺身、薄造り、しゃぶしゃぶ鍋(白子、キモ、胃袋、心臓、皮 入り)、かぶと塩焼きを食べ、白子のプリプリ感と胃袋、心臓のコリコリ感は絶品でした。かぶとの塩焼きは美味しい地鶏のようで、コラーゲンが一杯でした。いくら食べても胸焼けをしないアッサリとした上品な程よい油でした。高級料亭で出されるのが理解でき、食感と味はトラフグ、クエ以上でした。
くら寿司さんのマスターもさばくのに大変やったと思います。「今までお客さんの持ち込んだ魚でアラは初めてやな〜」と言ってもらいました。いつも有難うございます。残った半身とあらは家に持ち帰り、冷凍にしました。
今回は全てのラッキーが重なってアラが釣れて幸せな1日で、自分の釣り経験に大きなプラスになりました。人間の目と同じくらい大きな、鋭いアラの目はとても印象的で、暗い深海で何年も生きてきたアラの魚生を思い、自分の目に焼き付き忘れられないものになりました。
アラの魚説明は以下のページを見てください。
http://www.daiwaseiko.co.jp/fishing/fish/sea/ara_idx.html
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/ara.html
■新幸丸
新幸丸ホームページ http://tsuribune-shinkomaru.ftw.jp/index.html
乗合15,000円 (エサ、氷)
京都府宮津市養老漁港
0772-28-0848