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レポート


「山を歩こう!」

今回は「平成大不況の冬。
自然に触れて、自分自身を見つめ直してみませんか」

去年はあまりにも暗い話が多過ぎましたから、今年こそはいい年にみんなしたいですね。
不景気に覆い尽くされてしまっているようなこのご時世、みんなマイナス思考になりがち。ただ、これから変わっていくことを信じないと、ずっと暗いままこの一年も終わってしまうかもしれません。業績の不振、リストラ、失業、治安の悪化、家庭・家族のこと、みんな何かしら不安を抱えて毎日を過ごしています。でも、今必要なのは、まず自分で行動することなのかもしれませんよ。あまりいろんなことを考えすぎないで、少し自然に触れに行ってみませんか?
「こんな時に何を!!」と言われることは覚悟の上で、今のあなたを見つめ直すためにも冬のハイキングに出かけてみましょう。


不安や悩みで眠れないこともあるでしょうから、あまり早起きしなくていい近くの山に登りましょうか。そして冬は日暮れも早いので、日暮れまでの時間に余裕のもてるコースの取れる低い山がいいですよ。でも、必ず頂上からの見晴らしがいい山を選びましょう。道のしっかりした迷うことのないハイキングコースが一番ですね。もちろん晴れの日を見計らって行くに越したことは無いです。
冬のハイキングは持ち物が大変だろって思っていませんか?そんなに重装備をしなくてもいいですよ。肌着を重ね着するだけでも随分あったかいですよ。肌着と背中の間にタオルを入れると、防寒にも背中の汗取りにもなるし、頂上に登りついた時、このタオルを取るだけで汗冷えもしなくてすみますよ。歩き始めれば体はすぐに温もりますから、服装は薄いものを重ね着して、すぐに脱げる物の方がいいですね。ただし、上着はフリースの様に風を通すものじゃなく、薄くても風を通さないものにしてください。保温性も高いに越したことはありませんが、そんなに高い山に登らないでしょうから、動きやすくて、リュックにしまいやすいものがお勧めです。出来れば耳を隠せる帽子も欲しいですね。普通のニットのもので十分ですよ。耳の冷たさを我慢して登るのもいいかもしれませんが・・・。予備のトレーナかセーターはリュックに入れておいてください。足元も靴下を重ね履きしていきましょうか。手袋は軍手でもかまいませんよ。ただ湿気と風に弱いですけど。あっ、そうそう使い捨てカイロも必需品ですね。下着の替えも持って出ましょう。お弁当はコンビニのおにぎりでもいいじゃないですか。
さあ、あなた自身を取り戻すための一歩を踏み出してみましょう。

朝、家を出てから目的のハイキング地にたどり着くまでの列車や車の中で、それとも登山道まで歩いてくる間に、色んな事を考えるかもしれませんね。自然に触れに行く事が、今あなたがおかれている状況からの逃避の様に感じているかもしれません。「こんな時にハイキングなんかしても面白くないかも」とか「何でこんな時期に遊びに来てしまったんだろう」「みんなが頑張っている時に、何してるんだろう?」・・・なんてことをもし考えてしまっても、あなたの中に巣食っている不安や悩みは消えたりしませんよ。車窓から見える風景を楽しむ余裕がもしなかったとしても、山に向かう道すがらの光景を気に留めることも無く歩いてしまったとしても、ほら、そんなあなたを受け入れてくれる山が近づいてきましたよ。

白い息を吐き、冷たくなった耳を時々押さえながら、ゆっくり坂道を登り始めましょう。霜が降り、あるいは雪がかすかに積もった白い道に、あなたの足跡がはっきり残っていきます。少し坂道を歩くだけで、少し高く登るだけで、今まで見ていたものとは違う風景が開けてきていることに気づくでしょうか?あなたがいつもいる雑然とした社会から、あなたは歩幅の分だけ遠ざかっていきます。いつの間にか汗も少しかき始めているでしょ。息も少し上がってきましたね。上着はもうリュックの中に入ってしまいましたか?冷たい風が気持ちよく感じるくらいに成っているでしょう。体を冷やさない程度に道端の木や石に寄りかかって何度も休憩をとって登りましょう。そんなに急いで登る必要、ありません。あなたの時間なんですから。
足元の落ち葉の表情はどうですか?風の声は気持ちよく聞こえますか?今日の雲は何に見えますか?山並みに雪は積もっていますか?そんな風に自然の中にいる自分を確かめてみましょう。
はじめはいろいろ気がかりだったことも、坂道を登るにつれ、白い息を吐き出すのと一緒にいつの間にか忘れていませんか?時折思い出す不安も、しっかりと山道を踏みしめるたびに軽くなっていくように感じているでしょう。一歩そしてまた一歩足を進めること、それが社会に縛られていたあなたを少しずつ解放していきます。
少し急な登りを幾つか越え、足場の悪いところを注意して進みます。水分補給も忘れずにしましょう。その間に鳥のさえずりも聞こえてくるでしょう。雑木林や杉木立の中の木漏れ日を浴び、小川のせせらぎに少し足を止めて聞き入ったりしながら歩いていきましょう。さあ、もうすぐ山の頂が見えてくるころですね。あと一息です。

山頂に着いたら独り言でもいいから上ってきた感想を言葉に出してみましょう。何で登って来たのかなんてきっと誰も言わないと思いますよ。ちゃんと一歩ずつ刻んできた道のりが、あなたをその頂の上に立たせているのですから、素直に「ヤッター」なんて嬉しさを表現してみてください。周りに人がいなければ大声で叫んでみるのもいいですよね、長い間大声で叫んだことなんて無いんじゃないですか?カラオケとは違った叫びが出来て、カラオケよりもずっと気分が晴れるかもしれません。そして深呼吸をしましょう。冷たい空気があなたの頭の中のもやもやしていたものを消してくれるでしょう。でも体を冷やさないようにしてください。

どうですか、あなたが登ってきた山の頂でお弁当を食べながら見る風景は?山並みはきれいに見えていますか?どのあたりまで見渡せるんでしょうね?あなたの住んでいる町は見えますか?ほんと小さなところでみんな生活しているんですね。人の小ささを知ってしまいます。今日こうして出てこなければ、あなたもまたあの町の片隅にいたんでしょうね。あの町にもあなたと同じような悩みや苦しみを持った人が大勢いるかもしれません。ほんの少し生活空間を離れるだけで、今まで見えなかったものが見えてきませんか?

さあ、思いっきり背伸びをして、回りの景色に手を振って帰りましょう。坂を下り、町に近づいてきても、今日は悩むことも不安を感じてびくびくすることもやめにしませんか?もし帰り道に銭湯があれば寄ってみましょう。大きな湯船にのんびり浸かって体を伸ばしてみると、程よい筋肉の疲れがスーと抜けていくように感じられるでしょう。湯上りにビール、なんてのもいいですね。家に帰って久々に使った足をマッサージしながら、今日歩いた道や景色を思い出してみましょう。鳥の声や川のせせらぎなども頭に浮かびますか?そして、いい夢を見られるように期待しながら眠りましょう。明日、目覚めた時から、あなたの心に何かしら余裕が出来ているかもしれません。大きな自然があなたの心にいっぱい元気をくれているはずですから。







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