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レポート


京都北山「毘沙門川沢登り」レポート

春から頑張ってハイキングに出かけるつもりが、ゴールデンウィーク明けに膝を怪我してしまい、長い間歩くことから遠ざかってしまった。
やっと少し足の具合も良くなると、今度は本格的に暑さ。それなら暑い中をただ歩くだけのハイキングはやめてイメージ的に涼しい「沢登り」をすることにした。ただ難しいところを登るほど体を慣らしていないので、今回は超初心者コースの京都は北山、以前このレポートでお伝えしたことのある清滝川の支流の毘沙門川へと出かけた。
今回は色気も何もなく、男と言うより、もろにおっさん4人、しかも3人が沢登り初体験で、内2人はハイキングすら行ったことがない、とまあ、良くこんなグループで登ろうと思ってしまったなというくらいの方々とのトライ。


昼12時にJR京都駅待ち合わせ。集合時間が遅いのは全員酒好きのため、前日の酒を醒ませてから集まるため。とは言うものの、全員が早く来たので、12時の「栂の尾(とがのお)」行きのJRバスに乗ることが出来、まずは順調にスタート。
約50分で栂の尾に到着。(高雄の紅葉狩りは別レポート参照)
駐車場横の茶店で缶ビールを買い込み、高雄方面へのハイキングコースとは逆に、清滝川沿いに延びる周山道を先に進み、JRバスのバス停で2駅分をウォーミングアップ代わりに20分ほど歩いて「毘沙門橋」のバス停へ。
そこに入り口に一本のロープが張られた広場があって、その広場の奥に進むと草木の間に滝の姿が見える。
ここが沢登りのスタート。びしょ濡れになってもいい服装に着替え、濡れてはいけないものをビニール袋に入れてからリュックにしまう。
本来は沢登り用のフェルト底の靴を履くところを、今回は全員に用意できなかったので、皆地下足袋で登ることになった。

 
 

初心者3人は着替えを済ませて川に次々に降りていくが、3人ともが川に下りる時点で滑って転んでいる。先行き不安。小生も皆を引き上げるためのロープなどの準備を終え、川に降りる。適度な水量、そんなに冷たくもなく、良い感じ。初心者3人はと言うと、スタート地点の4メートルの滝を見上げて、半ば呆然。「ここ登んの?」との問いかけにうなずくと、何でこんなとこに来たんやろと言う顔つきに。実は、ここ毘沙門川沢登りは、この入り口の滝が、最初にして最大、そして最後の難関で、ここを越えれば、後はこの川を上っていくのはただの川遊びのようなもの。滝の横のわずかな踏み跡を伝って滝を巻いてしまえば何の苦労もないのだが、それじゃあまりに面白味が無いのではと思い、あえてチャレンジしてもらうことにした。

 
 

滝の上の段差のところで確保体制をとり、ロープを下に降ろし、ひとりずつ腰に巻いて登ってもらう。でもこれがなかなか大変。力任せに登ろうとするせいで、足や腕に力が入りすぎてよく滑るし、バランスが取れないまま次のグリップをさがしたりするので、このわずかな高さを上るだけでもかなり怖い思いをしている。上ってきてからもなかなか興奮状態からさめないで入る。以前ここを女の子二人に登らせたが、女のこの方が気持ちが座っているというか、ずっと楽だった。
やっと全員が最初の滝を登りきると、今上ってきたよりも高い5メートルほどの滝がすぐ後ろにあるので、またブーイング。でもここは巻いて行けるところがないので登らないと行けない。最初よりもみんな苦労して登って、もうこんなところには来ないと言いたげに、滝に流れ込む川を歩き始める。
小さいが趣のある明るい川で、ほとんど人の手が入っていないのが良い。古い流木や川中の岩にもコケが生している。深いところでも膝下、ほとんどは足首までの水量で、たいていのところは水面に出た石を渡って進む。
小さな滝をつけた段差が続き、皆最初のしんどさも徐々に消えて軽快に登り始めてきた。数年前の台風の影響で、大木が川に倒れこんだりして、川の様相がちょっと変わってしまったが、それもだいぶ落ち着いた感じになってきている。
スタートから30分ほどで3メートルの滝に出てその横を登り、その後に5メートルの滝に着く。この滝は左の蔓(つる)状の根を伝って斜面を登って滝の上に出る。その上には浅い滝つぼのある大きな滝。二段になっていて全高15メートル。ここは滝身がつるつるしていて直接登ることは出来ないので右側をやや大きく巻くのだが、少し足場が悪いので注意。大きな滝の上に出ると、ほとんど段差もない川の流れになってくる。川のすぐ横にハイキング道が現れ、それからますます平坦になってくる。ハイキング道が川を横切る丸太橋がなくなっていたが、川の流れがほとんど無くなったのかと思えるほどの浅い流れになっているところを越えると深い淵(水溜り)。
8メートル程のこの淵をリュックを浮き代わりに泳いで渡る。びしょ濡れになれるのは最後の滝を登らなければここだけ。このふちを渡りきるといよいよこの沢登りのクライマックス。前に5メートルほどの幅できれいなレースのような水の流れを見せてくれる滝が見える。二段になっていて全高は20メートルくらいある。ここが毘沙門の滝。全高を登るのは無理なので、滝の左に取り付いてグリップの多い5メートルの1段目を登って、この段の部分を伝って滝をくぐってフィニッシュになる予定で一段目を登ったが、滝の水量が思ったよりも多くて滝をくぐれず退散。でもまた降りるほうが怖い。そのまま滝の右側を巻いてハイキング道に出て沢登りが終わった。登り始めてから1時間半くらいか。

   
  

濡れた服を着替えて、茶店で買ったビールで乾杯。一服してからハイキング道を下ると、20分もかからずに周山道へ出る。その道を左に進むとすぐに登り始めた夫婦橋。それを過ぎて栂の尾のバス停まで黙々と歩く。途中なぜかカーブを示すために山側の道路のコンクリートの壁に付けられている何枚もの反射板のうち、一箇所だけ熱で熔けたように原型もわからないくらいに変形してしまっている不思議な場所がある。別に焦げた形跡がないので事故か何かの火が原因なわけではなさそう。すると日差しかとも考えられるが、陽は良くあたるとしてもプラスチックの板を熔かすくらいまでは成らないだろうし、どうしてここだけ熔けているのかわからない。そんなことを考えながら歩いてたが、小生以外は皆ちょっとバテている様子。栂の尾に着いて茶店に入ると座敷に座り込み、やはり皆放心状態。ビールに湯豆腐を味わってからバスに乗り込む。バスを四条大宮で降りて阪急に乗り換え、四条烏丸まで一駅の乗車(皆が元気なら歩くつもりだったが…)。

四条烏丸から錦市場に入り、すぐそばにあるレトロな雰囲気を残す「錦湯」に入って汗を流す。昔ながらのこのお風呂屋さんでは落語の寄席なども開かれる。それから木屋町界隈まで出て、路地の中にある居酒屋で打ち上げと反省会。沢登りの感想はあまり良いものは聞かれなかったが、やっとここにきて落ち着きが出てきたのか、会話も多くなる。ついでに鴨川に夏の風物詩の床を出している「セントジェームス」というバーに顔を出したが、残念ながら床は満席だった。京都の風情を窓越しに感じながら一杯の酒を味わい、帰りは京阪電車で大阪に向かった。

 







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